ビジネスの変化が早すぎ?
変化は加速するように早くなっている
ビジネスの世界も生活の変化もかなりのスピードで変化しているように思います。
普通に暮らしている分には、それほどの変化を感じることは少ないですが、テクノロジーが定着したこのご時世はかなりの変化のスピードがあります。
ビジネスをしていく上ではこの変化に対応していく必要があるのですが、最近ではもはや数カ月先ですら予測するのが難しくなってきています。
これほどまでに市場の変化のスピードが高まっている理由のひとつに、インターネットが情報と資本の流動性を一気に高めたことが挙げられます。
ひと昔前のインターネットがなかった時代は、ビジネスの多くは国内で完結し、情報の流通速度も遅かったので、変化はとてもゆるやかでした。
そのため、競合の動きや市場の脅威に対しても、ある程度余裕を持って行動できました。
でも、インターネットという驚異ともいえるシステムが誕生してからは、時代のスピードが大きく変わっていきました。
インターネットがもたらしたスピードは産業の構造そのものを再構築しています。たとえば、事業投資の産業は、インターネットにより完全に書き換えられました。
インターネットが誕生する前は、プライベートエクイティは、とても儲かる仕事でした。
流れ自体がゆるやかだったため、余裕かつ正確な判断もできるため企業の問題点を洗い出し、再建計画を描き、そのとおりに実行すれば、着実な成果が期待できたからです。
「計画どおりに実行すればうまくいく」というのが、インターネット誕生以前のルールでした。
しかしインターネットが登場した1990年代後半から、状況は急速に変わってきています。
インターネットを通して情報と資本の流動性が高まりすぎてしまい、状況は一瞬で大きく変化するようになりました。
リスクは思いもかけないところに存在し、計画どおりに事業を進めても、状況が計画当初とはかけはなれてしまっているという事態が頻発しはじめました。
これにより、プライベートエクイティは以前のように着実な成果を出せなくなっていきます。
もちろん、生活にも仕事にもインターネットがあることで、活発化しているのも事実です。
インターネットの普及によって大きなリターンも
自宅での取引からアウトソーシングなど、主婦や働きにいけない方にとっても便利といわざるを得ない状況をもたらしました。
インターネットの普及で大きなリターンを生み出し始めたのが, ベンチャーキャピタルです。
ベンチャーキャピタルは、見込みのある事業に投資しその成長からリターンを得るという点において、プライベートエクイティと同じことをしています。違うのはそのリターンの出し方です。
ベンチャーキャピタルは、10社に投資し、そのうち1社の成功により他の9社への投資額を回収し、リターンを出すモデルになっています。どの企業が成功するかは、事前にわからないからです。
事業の成否は事前に予想できるというスタンスのプライベートエクイティが衰退し、そもそも予測など不可能という前提で投資するベンチャーキャピタルが大きなリターンを得ている。
この産業構造の変化は、市場の変化のスピードが上がっていることを象徴しています。
事実、ここ10年、名だたる大企業が倒産し、逆に聞いたこともないような企業がまたたく間に巨大なグローバル企業に成長するということが繰り返し起こってきました。
マーク·ザッカーバーグがハーバード大学の学生寮でSNSをつくりFacebookを創業したのは2 0 0 4年です。ユーザーは急増し、2 0 1 5年現在, 12億人が使う世界レベルのインフラのようなサービスにまで発展しました。
現在、Facebookの企業価値は20兆円を超えます。これを上回るのは、日本ではトヨタただ1社となりました。
IT業界でのビジネスをしているのであれば、早いビジネスの変化に慣れてきますが、それもすべての変化に対応できるわけではありません。
情報の流通速度は増し、変化は加速し、これまでの何十年の積み重ねがたった数年でひっくり返ります。